人手が足りないのはなぜ?深刻な人手不足の原因と5つの解決方法
日本のビジネスシーンでは、人手不足の声が絶えません。
そこで、
「どうして人手不足が起こっているの?」
「人手不足を解決する方法が知りたい」
このようにお考えではありませんか。
人手不足を解決しない限り、現在の従業員に負担をかけ続けてしまいかねません。そこで本記事は、下記についてまとめました。
- 人手不足の現状
- 人手不足になりやすい業界・仕事内容7つ
- 人手不足の原因4つ
- 人手不足の解決方法5つ
人手不足を解消し、企業の経営を安定させたいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
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目次
人手不足の現状
日本の企業では人手不足が叫ばれています。新型コロナウイルスの感染が拡大してからは、業績悪化などの理由から多くの企業で雇い止めが発生しました。
しかし、新しい生活様式の浸透から2022年には少しずつ業績が回復しつつあるため、結果として人手不足に悩まされているのが現状です。株式会社帝国データバンクは、「従業員の過不足感」を発表しました。
<画像出典:株式会社帝国データバンク「従業員の過不足感」>
株式会社帝国データバンクによると2020年から2021年にかけて「不足感」は49.5%から35.9%に減少していますが、2022年には47.8%に急増しています。つまり、企業の約半数が「人手が足りない」と感じているのです。
日本経済がどう変化するのか不安を感じるなか、どのように人手不足を解消していくのかが企業にとって重要な使命といえます。
人手不足になりやすい業界・仕事内容7つ
人手不足になりやすい業界・仕事内容は、以下の7つです。
- IT業界
- 飲食業界
- 医療業界
- 運送業界
- 介護福祉業界
- 建設業界
- 宿泊業界
ひとつずつ順番にみていきましょう。
【業界1】IT業界
情報技術の発展がめざましいIT業界は、常に人手不足に陥っている業界のひとつです。すさまじいスピードで技術、業界は発展するものの、人材の育成が追いついていません。
特にエンジニアは高度な技術が要求されるため、不足しがちな人材です。さらに、IT化したシステムを使いこなすには知識が必要になるため、運用する際にも一定水準以上のレベルが求められます。
人々の生活を豊かにする技術の発展は望ましいものですが、人手不足は今後も続くと予想されます。
【業界2】飲食業界
飲食業界の人手不足は以前から叫ばれていましたが、新型コロナウイルスの影響を強く受け、さらに厳しい状況が続いています。もともとアルバイトやパートなどの非正社員が多い業界で、短期離職による人手不足がなかなか解消されません。
ひとつの店舗につき正社員が1〜2名、残りの従業員はアルバイトといったケースも多くみられます。
【業界3】医療業界
医療業界は労働条件が過酷という要因もあり、人手不足が続いています。労働時間や給与、休日などの待遇が業務の過酷さとマッチしていないと感じ、離職や採用難の状況を生み出しているのです。
また、取り扱うものが人命である以上、ほかの業界と比べて責任が重大な点も原因と考えられます。さらに新型コロナウイルスの影響を受け、より人材不足が加速しています。
【業界4】運送業界
運送業界は、インターネットショッピングの普及により、人手不足の状況に陥っています。新型コロナウイルス拡大による緊急事態宣言や外出自粛によって、さらにインターネットショッピングが急増し、人手不足が大きな問題となりました。
また、配送時に受取人が不在の場合は再配達しなければならず、大きな負担となっています。利用者が時間指定や時間変更を活用すれば解消できる可能性があるため、全員が一丸となって意識しなければなりません。
【業界5】介護福祉業界
介護福祉業界は、業務の過酷さと賃金の安さが問題視され、なかなか人手不足が解消されない業界です。日本は高齢化社会が進み、介護や福祉を必要とする高齢者が増加しています。
一方で、求人に対する労働者が集まらず、過酷な労働が減少していません。政府も待遇改善に取り組み、外国人による従事者の確保や介護ロボットの導入で、従業員の負担を軽くしようとしています。
【業界6】建設業界
建設業界は、炎天下や悪天候といった自然環境の影響を受ける過酷な現場で働かなければなりません。また、大きなケガをしやすい現場でもあり就職率が低く、常に人手が足りない状況です。
過酷な労働環境に見合った待遇の見直しが、今後の課題です。
【業界7】宿泊業界
宿泊業界も労働環境の厳しさから、人手不足が続く業界です。特に小規模なホテルや旅館では、賃金や就職率が低いと言われています。
また、宿泊業界も新型コロナウイルスの影響を強く受けています。国内旅行の自粛や入国制限による外国人観光客の減少で、廃業に追い込まれるホテルや旅館が増加しました。その後、旅行自粛が少しずつ緩和され、人手不足に陥っている状態です。
人手不足の原因4つ
人手不足には、4つの原因があると考えられます。
- 労働人口の減少
- 人材獲得が困難
- 採用コストがかかる
- 労働条件が合わない
特に、高齢化が進む日本で「労働人口の減少」は、大きな社会問題となっています。順番に詳しくみていきましょう。
【原因1】労働人口の減少
人手不足を引き起こす原因のひとつは、労働人口の減少です。少子高齢化が進んだ日本は、そもそも働く人がいないのです。
<画像出典:2021年 労働力調査「図1 労働力人口の推移」>
総務省の「2021年 労働力調査」では、2021年の平均労働力人口は6860万人で、2020年から8万人の減少となりました。さらに、出生率も下がっているため、少子高齢化の波はますます強くなると予想されます。
<画像出典:令和2年度版 厚生労働白書「図表1-1-7 出生数、合計特殊出生率の推移」>
厚生労働省の「令和2年度版 厚生労働白書」では、2019年の出生数は87万人と過去最小でした。さらに減少は続き、2040年では約74万人と推計されています。
【原因2】人材獲得が困難
人材獲得が困難になっている現状も、人手不足の原因と考えられます。現在の採用市場は求職者よりも求人数が多いため、求職者が仕事を選べる状況です。
つまり、企業側が「人がほしい」と考えても、よりよい労働条件を提示しなければ求職者に選んでもらえません。
また、終身雇用の崩壊も人材獲得を困難にしています。個人のスキルが重視されるようになり、以前より転職が一般的になりました。
労働者の流動性が高くなったため、常に求人するような企業も増加していると考えられます。いかにして人材を定着させるかが、企業の重要課題です。
【原因3】採用コストがかかる
採用コストが原因で求人を出せず、人手不足の状況から脱せない場合もあります。人を採用するためには、求職者に「従業員を募集しています」と告知しなければなりません。
そのためには、求人情報誌やWeb広告などに費用をかけて、求人情報を掲載する必要があります。しかし、現在では多種多様な情報誌や求人サイトがあり、すべてに広告を出すと費用がかさんでしまいます。
さらに、売り手市場の現在は、広告を出したからといって求職者が集まるわけではありません。採用コストをかけられないから人が集まらず、人が集まらないから予算を割けないという悪循環に陥ってしまうのです。
【原因4】労働条件が合わない
人手不足の原因として、企業と求職者で労働条件が合わないという点が挙げられます。企業がどれほど採用コストをかけて採用できても、従業員が労働条件に不満を感じれば離職につながり、人手不足が解消されません。
たとえば、従業員は以下の要素に不満を感じます。
- 給与が少ない
- 残業が多い
- 実際に働いてみると、求人情報と内容が異なる
- 人間関係に不満がある
- 労働環境が過酷
労働条件が合っていないと感じると、よりよい条件を提示する企業に転職するケースも多くなりました。
また、離職率が上がってしまうと、求人情報を掲載した際に「この企業はいつも求人を出しているから、定着しない原因がありそう」と求職者が考え、悪循環に陥る恐れがあります。
従業員が会社を辞める原因については以下の記事でも詳しくまとめていますので、離職にお悩みの場合は合わせてご覧ください。
社員が仕事を辞める理由ランキング5選と退職を防ぐためにできること
人手不足の解決方法5つ
人手不足の解決方法は、以下のとおりです。
- 労働環境を改善する
- 採用を見直す
- 業務内容を見直し不要な業務をなくす
- 業務を効率化する
- アウトソーシングを導入する
特に「業務を効率化」すれば、従業員満足度の向上につながり、離職率の上昇を防止できます。順番に詳しくみていきましょう。
【解決方法1】労働環境を改善する
1つ目の方法は、労働環境の改善です。従業員の不満は労働環境面に多く、改善できれば離職の防止や採用時のアピールにつながります。
労働環境とは作業現場だけではなく、待遇や福利厚生などの条件面も考えなくてはなりません。たとえば、以下の要素について考えましょう。
- 給与
- 人間関係
- エアコンなどの設備
- 負担が偏った業務内容
いずれも簡単に改善できるものではありませんが、従業員の意見を取り入れつつ、働きやすい職場づくりを心がけましょう。
また、食事補助や住宅補助などの福利厚生を手厚くすれば、労働条件の改善となるケースもあります。どのような施策をとれば従業員が満足するのか、といった視点で労働環境を見直すのがおすすめです。
【解決方法2】採用を見直す
求人広告を出しても求職者が集まらない場合は、求人の内容が魅力的ではない恐れがあります。
そのため、どのような人を募集しているのかターゲットを明確にし、ターゲットに合わせた条件で募集するのがおすすめです。たとえば、ターゲットが未経験者であれば教育体制、経験者であればキャリアアップをアピールするといいかもしれません。
また、無計画な採用も避けましょう。企業の長期計画に沿って、5年後・10年後を見据えた採用活動が大切です。
採用計画をしっかり立てなければ「新卒が配属されて教育が追いつかない」といった事態にもなりかねません。企業の成長につながるように、具体的な計画を立てましょう。
【解決方法3】業務内容を見直し不要な業務をなくす
人手不足の解決方法として、不要な業務をなくすことが挙げられます。業務をスムーズに遂行できない原因が人手不足ではなく、そもそも不要な業務を行っているケースがあるからです。
業務内容を見直して、不要な業務を洗い出せば、人員はそのままで従業員の負担を軽減できます。たとえば、複数部署で発注業務を行っている場合は、ひとつの部署に集中するのがおすすめです。
稟議書の承認も、必要な上層部の人数を最低限にすれば、スピーディに業務が進みます。現在の業務を当たり前と思わず「不要な業務がある」といった視点で考えましょう。
【解決方法4】業務を効率化する
業務をなくせない場合は、効率化できないか考えてみましょう。業務を効率化できれば工数削減につながり、人手不足を解消できる可能性があります。
たとえば、以下のようなシステムやツールを導入すれば、効率化が可能です。
- RPA(Robotic Process Automation):自動化ツール
- CRM(Customer Relationship Management)ソフト:顧客管理ソフト
また、業務を効率化するために、ECRS(イクルス)と呼ばれるフレームワークが用いられます。
- E:Eliminate(排除する)
- C:Combine(組み合わせる)
- R:Rearrange(再配置する)
- S:Simplify(簡素化する)
業務について、E→C→R→Sの順番で改善できないか検討するフレームワークです。ECRSについては下記の記事で詳しく紹介しているので、ぜひご一読ください。
【解決方法5】アウトソーシングを導入する
人手不足を解決するために、アウトソーシングを導入する方法があります。ノンコア業務と呼ばれる直接売上につながらない業務は、定型化・マニュアル化されている場合が多いため、誰が行っても同様の成果を得られます。
自社の従業員はコア業務に集中し、ノンコア業務を専門業者にアウトソーシングすれば人手不足を解消可能です。たとえば、納品書の作成やデータ入力は企業にとって重要ですが、難しい業務ではありません。
アウトソーシングをうまく活用すれば人手不足を解消できるうえ、生産性向上にもつながるため、検討してみるのがおすすめです。
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人手不足を解消して生産性向上を図ろう
人手不足の大きな原因は労働人口の減少で、今後も続くと予想されています。現代は、求職者が企業を選ぶ「売り手市場」ですが、企業の対策次第で人手不足の解消は十分可能です。
特に、労働環境・労働条件の改善は、従業員の定着率や求職者の応募率の向上を見込めます。
「労働人口の減少」の根本的な解決は難しいため、人手不足で悩んでいる企業は業務効率化やアウトソーシングの導入など、できることから始めてみるのがおすすめです。
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