派遣社員も出張できる?させてはいけない仕事・注意点を解説

派遣社員の活用が進むなか、営業の同行や地方へのサポートなど、派遣社員に出張を依頼したいとお考えではありませんか。
しかし、正社員とは雇用形態が異なるため、知らず知らずのうちに契約違反や労働法違反などのトラブルを招く恐れがあります。
本記事では、下記をまとめました。
- 派遣社員に出張を命じる場合の注意点
- 派遣社員の出張にかかる費用について
- 万が一のトラブル時における責任の所在
コンプライアンスを遵守し、リスクなく派遣社員に出張を依頼する体制を整えたい方は、ぜひ最後までお読みください。
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目次
派遣社員に出張を命じることは法律的に可能?派遣と出張の基本ルール

派遣社員に出張を命じることは法律的に可能です。ただし、契約の範囲内であるかという点が重要です。
派遣社員は「労働者派遣契約」に基づいて就業しています。派遣社員に出張を命じるには、この契約内容にその出張業務があらかじめ含まれていなければなりません。
契約に記載がない業務や場所での就業を命じることは、契約違反となります。そのため、派遣社員に出張を命じる場合は、「契約のなかで両者が合意できている場合に限り可能」であると理解しておきましょう。
派遣社員に出張を命じる場合の注意点

派遣社員に出張を命じる場合は、下記のポイントに注意しましょう。
- 派遣契約に出張の有無を明記しておく
- 労働者の同意を得たうえで出張させる
- 派遣先と派遣元の責任範囲を明確にしておく
派遣社員に出張を依頼する際は、口頭での指示だけで済ませてはいけません。トラブルを防ぐために、契約書類の整備や事前の合意形成が不可欠です。順番に見ていきましょう。
派遣契約に出張の有無を明記しておく
派遣社員に出張を命じるためには、契約書への明記が絶対条件です。法律では、派遣労働者が従事する業務内容や就業場所を具体的に定めるよう規定しています。
もし、契約書への記載がない状態で出張を命じると、契約外の業務命令となり派遣契約違反とみなされる恐れがあります。また、単に「出張あり」とするだけでなく、下記のようにできる限り具体的な内容を記載することが望ましいです。
- 出張先の住所
- 宿泊の有無
- 出張の頻度
契約内容を明確にすることは、法的リスクを避けるためだけでなく、派遣社員との信頼関係を構築するためにも重要です。
労働者の同意を得たうえで出張させる
契約書に記載があるからといって一方的に出張を命じるのではなく、しっかりと同意を得たうえで依頼しましょう。派遣という働き方を選んでいる人のなかには、本人の体調や家庭事情から勤務地や勤務時間が限定されていることを条件に働いているケースも見られます。
そのため、労働者の事情を考慮したうえで、事前の合意が重要です。派遣の顔合わせや職場見学の段階で、出張が発生する可能性について正確に伝え、本人の了承を得ておくのが理想です。
契約期間の途中で急に出張の必要が生じた場合も、派遣元を通じて本人に打診し、同意を得るようにしましょう。
派遣先と派遣元の責任範囲を明確にしておく
出張中は、派遣社員が派遣先企業の目の届きにくい環境で働きます。そのため、トラブルが発生した際の責任を派遣先と派遣元のどちらがどのような責任を負うのか、あらかじめ明確にしておきましょう。
責任の所在が曖昧なままだと、緊急時の対応が遅れ、事態が悪化する可能性もあります。具体的には、事前に覚書や確認書などを取り交わし、細かいルールを決めておくことをおすすめします。たとえば、
- 出張先で事故や急病が発生した場合の緊急連絡体制
- 誰が第一報を受けるのか
などのフローを決めておきましょう。
派遣社員の出張にかかる交通費・宿泊費の負担は誰?

出張にかかる費用の負担は、一般的に下記のとおりです。
- 原則として派遣元が費用を負担する
- 契約によっては派遣先が費用を負担するケースもある
- 事前に費用負担の取り決めをしておく必要がある
費用の支払いが不透明では、企業間の信頼関係に影響を与えかねません。しっかりと把握しておきましょう。
原則として派遣元が費用を負担する
派遣社員の雇用主はあくまで派遣元企業であるため、業務遂行に必要な経費は原則として派遣元が負担します。その後、派遣元は派遣先に請求するのが一般的です。つまり流れとしては、下記のとおりです。
- 派遣社員が出張にかかった交通費や宿泊費を立て替える
- 派遣社員は領収書や精算書を派遣元に提出し、派遣元から実費が支払われる
- 派遣元企業が派遣先企業に費用を請求する
このようにすることで、派遣先が派遣社員個人と直接金銭のやり取りをせずに済みます。また、派遣社員にとっても、給与の支払い元である派遣元から経費が振り込まれるため、安心して手続きを進められます。
契約によっては派遣先が費用を負担するケースもある
実務上、派遣先が出張費を負担するケースもあります。たとえば、交通手段のチケットや宿泊先の予約を派遣先企業が手配し、派遣社員へ現物として支給する方法です。
また、派遣契約や覚書に基づいて派遣先の社内規定に沿った旅費を派遣元へ支払い、その後派遣元から派遣社員へ精算する運用がとられる場合もあります。
一方で、派遣先が派遣社員へ直接現金を支給する運用は、注意しなければなりません。出張費を直接手渡しすると、指揮命令系統が不明確な状態とみなされ、調査時に「実質的な雇用関係が派遣先にあるのではないか」と疑われる恐れがあります。
「偽装請負」や「黙示の雇用契約」と判断されるリスクを避けるためにも、支払いの流れは派遣元を経由させるなど、適切な手続きが求められます。
事前に費用負担の取り決めをしておく必要がある
派遣社員に出張を命じる場合は、事前に派遣元企業と費用負担の取り決めをしておきましょう。そもそも派遣社員が派遣先の正社員と同じ業務を行う場合は、同等の待遇を受けられます。基本給だけでなく、出張に伴う手当や宿泊費の上限額にも適用される可能性があります。
たとえば、宿泊費の上限について注意が必要です。正社員が良いホテルに泊まる一方で、派遣社員には安価な宿泊施設を強要するといった扱いは、是正指導の対象になり得ます。
トラブルを防ぐためにも、契約締結時に詳細な取り決めを行っておくことが重要です。
派遣社員が出張中にトラブルが起きたら?派遣と出張に関する責任の所在

派遣社員の出張中にトラブルが発生した場合について、下記の観点から確認してみましょう。
- 労災保険の手続きは派遣元が対応する
- トラブルの内容によって派遣先と派遣元の責任が分かれる
出張は、管理者の目が届かない場所での業務となるため、事故や病気などのリスクが高まります。万が一の事態が起きた際に、対応を遅らせないためにも責任の所在を明確化しておきましょう。順番に解説します。
労災保険の手続きは派遣元が対応する
労災保険に関する届出や手続きは、雇用主である派遣元企業が対応します。就業中はもちろん、移動中の事故や宿泊先での怪我も同様です。
事故が発生した場合、派遣社員は速やかに派遣元へ報告し、派遣元が労働基準監督署へ申請します。また、海外出張の場合は労災保険の「海外派遣特別加入」が必要になるケースもあるため、事前に派遣元と確認しておきましょう。
トラブルの内容によって派遣先と派遣元の責任が分かれる
労災保険の手続き自体は派遣元が行いますが、「なぜその事故が起きたのか」という原因に対する責任は、派遣先が問われることもあります。派遣先は、労働者に対して安全への配慮をしなければなりません。
もし、派遣先が指定した出張先の環境が安全基準を満たしていない場合、派遣先は安全配慮義務違反とみなされる可能性があります。
また、労働時間の管理責任も派遣先にあります。出張中だからといって無制限に残業させることはできず、行き過ぎた労働は是正勧告の対象になりかねません。
トラブルを未然に防止するためにも、派遣社員を守るための相談窓口を設置・周知し、同行する社員への教育などリスク管理を徹底しましょう。
派遣社員は出張を拒否できる?

下記のような状況では、派遣社員は出張を拒否できます。
- 契約に出張が含まれていない場合
- 出張の条件が明示されていない場合
基本的には、契約に含まれていない場合や曖昧な場合に拒否できる可能性があります。具体的な内容を見ていきましょう。
契約に出張が含まれていない場合は拒否できる
派遣労働は、契約内容が遵守されるべき働き方です。そのため、契約書や就業条件明示書に「出張あり」との記載が一切ない場合、派遣社員は出張を拒否できます。
もし、契約にない出張を拒否したことを理由に不当な扱いを受けた場合は、契約違反とされます。トラブルに発展した場合、契約に含まれない出張を命じた側が不利になる可能性が高いでしょう。
どうしても出張が必要になった場合は、契約更新時に条件を見直して合意を得る必要があります。
出張の条件が明示されていない場合も断る正当な理由になる
契約書に「出張あり」と記載されていても、その条件が当初の説明や一般的な考えから大きくかけ離れている場合、派遣社員は拒否できる可能性があります。たとえば、「日帰り出張程度」と聞いていたのに「1ヶ月の長期滞在」を命じられたり、「国内」の想定だったのに「海外出張」を指示されたりするケースです。
また、育児や介護などの家庭責任を負う派遣社員に対しては、転勤や出張の命令に際して配慮しなければなりません。派遣社員が「子供の送迎があるため宿泊出張はできない」と申し出た場合、無視して出張を強要することは権利の濫用とされる可能性が高いです。
他に派遣社員にさせてはいけないこと

契約にない出張以外にも、派遣社員にさせてはいけないことが複数あります。
- 派遣契約にない業務
- 部署異動
- 派遣先都合での休業・早退
- 二重派遣・偽装請負
出張以外にも、派遣先の担当者が知らず知らずのうちにやってしまいがちな禁止事項についても確認しておきましょう。ひとつずつ紹介します。
派遣契約にない業務
出張と同様に、契約にない業務をさせてはなりません。特に、現場では「ついでにこれもやっておいて」と軽い気持ちで頼んだことが契約違反になるケースが多々あります。
たとえば、一般事務としてファイリングやデータ入力で契約した派遣社員に対し、人手が足りないからといって受付業務やお茶出し、接客を常態的に行わせるケースです。
契約にない業務をさせることは「契約外の業務命令」にあたり、発覚すれば是正指導の対象となる可能性があります。また、派遣社員との信頼関係が崩れ、離職の原因にもなりかねません。
業務範囲を広げたい場合は、必ず派遣元と協議し、契約内容と派遣料金を見直すのが正しい手順です。
部署異動
正社員に対して行われる人事異動や配置転換は、派遣社員に適用できません。派遣契約は、特定の部署や組織に対して人材を派遣するという性質を持っています。
そのため、派遣先の一存で「隣の部署が忙しいから、来月からそちらに異動して」と指示することは、契約内容の無断変更にあたります。
配置転換が必要な場合は、現在の契約を終了して新たに契約を結び直す必要があります。もちろん、その際には派遣社員本人の同意を得なければなりません。本人の意向を無視した異動命令は認められないので、注意しましょう。
派遣先都合での休業・早退
派遣先都合による休業・早退の指示もリスクの高い行為です。派遣契約で労働時間を明確に定めている以上、派遣先にはその時間の労働を確保し、賃金を支払う義務があります。
たとえば、「今日は仕事が暇になったから、午後で帰っていいよ」「工場のラインが止まったから、明日は休みで」などの指示は、基本的に認められません。
もし派遣先の都合で休業させる場合は、賃金を補償しなければなりません。安易な休業指示は、金銭的なトラブルに発展しやすいため注意が必要です。
二重派遣・偽装請負
二重派遣や偽装請負は違法行為です。二重派遣とは、派遣先企業が受け入れた派遣社員を自社の子会社や取引先の現場に派遣することを指します。これは中間搾取につながるため、法律で厳しく禁止されています。特に、派遣社員が取引先のオフィスに出張し、取引先の社員から直接命令を受けて働くような形態は二重派遣とみなされるリスクが高いです。
偽装請負は、形式上は業務委託契約であるにもかかわらず、発注者が受託企業の労働者に直接指示を出すことです。指揮命令権の所在と契約形態が一致していない状態は、労働者の権利侵害とされ、処分の対象となります。
派遣社員で対応できない業務はアウトソースがおすすめ

派遣社員への出張命令や契約外の業務依頼には、契約上の制約がのしかかります。対応してもらうためには契約内容の更新が必要なので、素早い対応は困難でしょう。
派遣社員で対応できず、緊急性を伴う場合は、業務のアウトソースがおすすめです。バックオフィス業務を始めとするノンコア業務を柔軟性の高いアウトソーシングサービスに委託することで、法的リスクを回避しつつ、業務効率の向上が期待できます。
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