社員一人にかかる費用はいくら?人件費を抑える5つの方法
事業が成長すると業務が増え、社員の増員を考える必要がありますが、社員一人にかかる費用は意外と正確に把握していないものです。
そこで、
「社員一人を雇用するのにかかる費用はいくら?」
「費用を抑える方法があれば知りたい」
このようにお考えではありませんか。
社員一人にかかる費用を把握しないまま増員すると、せっかく事業が成長しているにも関わらず、費用がかかりすぎて利益に影響を及ぼす恐れがあります。そこで本記事は、以下について紹介します。
- 正社員一人を雇用するのにかかる7つの費用
- 月収30万円の正社員を雇用する際にかかる費用の内訳
- 正社員を雇用する費用を抑える5つの方法
社員一人にかかる費用を把握して、人件費を適切に管理したいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
なお、人件費を抑えるなら正社員を雇用するより、業務のアウトソーシングがおすすめです。オンライン秘書・オンラインアシスタントサービス『i-STAFF』は、1時間2,640円から幅広い業務を外注できます。
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目次
正社員一人を雇用するのにかかる7つの費用
正社員一人を雇用すると、多くの費用がかかります。代表的なものは、以下の7つです。
- 採用費
- 教育費
- 準備費
- 基本給
- 残業代
- 福利厚生費
- 社会保険料
基本的には、どの費用も欠かせない重要なものばかりです。順番に見ていきましょう。
【費用1】採用費
求職者を集めるためには、費用がかかります。企業が求人していることを知らせるためには、告知しなければなりません。
そのためには、求人誌や求人サイトへ情報を掲載する必要があります。また、新卒者を相手に求人活動をする場合は、説明会の開催や企業案内の資料が必要です。
したがって、以下のような費用が発生します。
- 求人広告費
- 求人エージェントの手数料
- 資料の制作費
- 説明会会場の利用費
- 対応スタッフの給料
新卒や中途採用によって、かかる費用の大きさも変わります。採用費を削減しすぎると求職者が集まらなくなるため、費用対効果の見極めが重要です。
【費用2】準備費
新入社員の入社が決まれば、準備に費用がかかります。新入社員が入社しても準備が不足していれば、満足に業務を提供できない恐れがあります。
準備にかかる費用はすべて準備費として考えることができ、おもに以下のような備品が必要です。
- デスク
- PC
- PCソフト
- 電話機
- 制服
業種によってPCやPCソフトが必要になり、多くの費用が必要になります。「PCが必要な業務にも関わらず、準備不足で用意できていない」という事態を避けるためにも、早めの準備を心がけましょう。
【費用3】教育費
新入社員を教育するために、費用がかかります。新卒や中途採用にかかわらず、新入社員は知識やスキルが不十分な場合が多いです。
同業種からの転職など、知識を十分にもっている新入社員もいますが、企業による微妙なルールの違いまでフォローし切れるものではありません。自社の業務を滞りなく遂行できるようになってもらうため、一般的には以下のような費用が必要です。
- 研修に使用する会場代
- 資料の制作費
- 講師への支払い
- 外部セミナーの受講料
スキルアップのための教育内容は新入社員によって異なりますが、自社に合った業務を学んでもらうため、最低限の教育は実施しましょう。
【費用4】基本給
社員には毎月の基本給を支払う必要があります。採用費、準備費、教育費は基本的に一度用意すれば済む費用ですが、基本給は毎月支払わなくてはなりません。
基本給をもとに税金や保険料を差し引いたり、各種手当てをプラスしたりして毎月の給料が決定されます。
また、基本給をベースにした支払いには賞与も忘れてはいけません。
一般的に「ボーナス」と呼ばれるもので、金額や頻度は企業が自由に決められます。基本的に「基本給○ヶ月分」と決められますが、企業の業績や個人の評価によって増減する場合もあります。
【費用5】残業代
社員が残業した際に、必ず支払わなくてはならない費用です。労働基準法では、労働時間を「1日8時間および1週間40時間」としており、これを超える労働は原則禁止されています。
あくまで原則なので即違法とはなりませんが、社員の労働時間が上記を超える場合は、残業代を支払わなくてはなりません。残業代は、一般的に基本給を時給換算した金額を25%割り増しします。
ただし、近年では働き方改革が進められ、多くの企業は不要な残業を避けるようになりました。残業しなくても目標を達成できるように、業務効率化やコスト削減などの工夫が企業に求められています。
【費用6】福利厚生費
福利厚生とは、社員に支払われる給料以外の報酬です。社員が働きやすい環境や、生活の質向上のために支払われます。
福利厚生として支払われる費用は、以下のものが挙げられます。
- 住宅手当
- 通勤手当
- 食事補助
- 慶弔見舞金
- ドリンク代
- 退職金の積み立て
退職金制度のない企業もありますが、支払う場合は大きな金額になるため、長期的な視点で積み立てる必要があります。仮に、40年勤務で1,000万円の退職金を支払うなら、1年で25万円の積み立てが必要です。
福利厚生が充実すると社員の定着率や満足度にも影響するため、可能な限り充実を図ることをおすすめします。
【費用7】社会保険料
社会保険とは、ケガや病気など万が一の事態に対して、国が救済する制度です。おもに以下の5つに分けられ、それぞれ事業主と社員で負担します。
種類 | 概要 |
---|---|
健康保険 |
・病院の医療費が3割負担になる ・負担は事業主と社員で折半 |
厚生年金 |
・基礎年金に上乗せして得られる年金 ・負担は事業主と社員で折半 |
介護保険 |
・介護が必要になったとき1〜2割の負担でサービスを受けられる ・40歳から加入する ・負担は事業主と社員で折半 |
雇用保険 |
・社員が失業したときに給付を受けられる ・負担は事業により異なるが、事業主が社員の約2倍負担する |
労災保険 |
・業務中や通勤中にケガや死亡した場合に備える制度 ・負担は全額事業主 |
雇用保険の保険料率は、年度ごとに異なります。例えば、令和4年度の保険料率は以下のとおりです。
▼令和4年4月1日〜令和4年9月30日
事業の種類\負担者 | ①労働者負担 | ②事業主負担 | ①+②雇用保険料率 |
---|---|---|---|
一般の事業 | 0.3% | 0.65% | 0.95% |
農林水産・清酒製造の事業 | 0.4% | 0.75% | 1.15% |
建設の事業 | 0.4% | 0.85% | 1.25% |
▼令和4年10月1日〜令和5年3月31日
事業の種類\負担者 | ①労働者負担 | ②事業主負担 | ①+②雇用保険料率 |
---|---|---|---|
一般の事業 | 0.5% | 0.85% | 1.35% |
農林水産・清酒製造の事業 | 0.6% | 0.95% | 1.55% |
建設の事業 | 0.6% | 1.05% | 1.65% |
最新情報は厚生労働省のサイトでご確認ください。
月収30万円の正社員を雇用する際にかかる費用の内訳
具体的に月収30万円の正社員を雇用した場合にかかる費用を考えてみましょう。以下の順番で概算してみます。
- 総支給額
- 社会保険料
- 年間の負担額
順番にみてみましょう。
1.総支給額
年間の総支給額は簡単に計算できます。
給料:30万円×12ヶ月=360万円
賞与を月給2ヶ月分、年2回の支払で試算すると以下になります。
賞与:30万円×2ヶ月分×年2回=120万円
合計すると、総支給額は480万円です。
2.社会保険料
続いて社会保険料です。なお、今回は介護保険料を考えません。
健康保険料は、保険者や住所によって料率が異なります。今回は、保険者が全国健康保険協会で、住所が東京の場合で考えてみましょう(令和4年の場合で計算)。
健康保険料:14,715円×12ヶ月=176,580円
同様に、厚生年金保険料は以下のとおりです。
厚生年金保険料:27,450円×12ヶ月=329,400円
雇用保険料と労災保険料は、事業の種類によって料率が異なります。今回は「一般の事業(小売業)」で考えましょう。
雇用保険料:480万円×0.65%=31,200円
労災保険料:480万円×0.3%=14,400円
したがって、社会保険料のトータルは以下のとおりです。
社会保険料:176,580円(健康保険料)+329,400円(厚生年金保険料)+31,200円(雇用保険料)+14,400円(労災保険料)=551,580円
3.年間の負担額
ここまでの計算結果を足すことで、年間の負担額が約535万円となります。
年間の負担額:480万円(総支給額)+551,580円(社会保険料)=5,351,580円(約535万円)
ただし、この結果は準備費や介護保険、退職金の積み立て、残業代は考慮していません。したがって、本来はさらに費用がかかります。
正社員を雇用する費用を抑える5つの方法
正社員を雇用する費用を抑えるためには、以下の5つの方法があります。
- 給料を見直す
- 業務を見直す
- 残業時間を減らす
- パート・アルバイト・派遣社員を雇用する
- 業務をアウトソーシングする
特に、現在雇用している社員の費用を抑えるなら、残業時間を減らす対策が重要です。順番にみていきましょう。
【方法1】給料を見直す
給料を見直すことはインパクトが大きく、費用を抑えるなら最初に確認したい項目です。しかし、すでに支払っている給料を下げることは、社員のモチベーションや満足度を考えると不可能に近いと考えられます。
給料ダウンは困難なので、見直し方法を変えるのがおすすめです。たとえば、定期的な昇給ではなく、能力に応じた昇給方法へ変更しましょう。
「がんばれば給料が上がる」とわかれば、社員のモチベーションも上がります。また、社員に支払うお金という意味では、福利厚生の見直しも重要です。
月額で支払っている以下のような手当を一時金として支給すれば、費用を抑えられます。
- 住宅手当
- 家族手当
給料だけではなく福利厚生も安易にカットすると、社員の不満につながります。モチベーションと満足度を下げないためにも、工夫してコストダウンを考えましょう。
【方法2】業務を見直す
直接的な費用削減ではありませんが、業務を見直すことで間接的に費用を削減できます。業務効率化が実現できれば、無駄にかかっていた経費を削減できたり、人材を有効活用できたりするからです。
業務効率化を実現するうえで重要なことは「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすことです。既存の業務にどのような「ムリ・ムダ・ムラ」があるか把握し、以下のような対策を講じましょう。
- システムやツールを導入する
- 業務に適した人材を配置する
特に、RPA(作業の自動化)やCRMソフト(顧客管理)を活用すれば、それまでかかっていた時間を一気に削減できる可能性があります。自社に適したシステムやツールがあれば、積極的に導入しましょう。
なお、業務効率化については以下の記事で紹介しています。業務効率化に有効な施策や成功事例を紹介しているので、ぜひご一読ください。
業務効率化と生産性向上の違いとは?成功事例から学ぶ有効な施策
【方法3】残業時間を減らす
残業時間を削減することで、費用を抑えられます。企業は、社員が業務時間を超えて働いた分の報酬を支払わなければならず、その費用は割り増し分を上乗せする必要があります。
つまり、残業が多くなればなるほど人件費のなかでも占める額が大きくなるため、コントロールが重要です。そのために企業はただ「残業しないように」と叫ぶのではなく、どうすれば残業がなくなるのかを考えて、対策をしなければなりません。
残業時間の削減は各企業で取り組みを行っており、社会全体で重視されています。よく用いられる施策のひとつが「ノー残業デー」です。
基本的に残業してはいけないという日で、定時までに業務を完了させることを目標とします。また、残業時間の削減を社員に意識してもらうことも重要です。
なかには「定時に終わらなかったら残業すればいい」と、残業前提で業務を進める社員もいます。そうならないために、残業することで通常の業務よりもコストがかかることを意識してもらわなければなりません。
経営者のようにシビアなコスト意識をもつのは難しいかもしれませんが、社員一人ひとりが「何にいくらかかるのか」を意識すれば大きなコスト削減につながります。
【方法4】パート・アルバイト・派遣社員を雇用する
社員を雇用する際に、パートやアルバイト、派遣社員といった雇用形態を活用することで費用を抑えられます。パートやアルバイト、派遣社員は条件に応じて一部の社会保険を支払う必要がありません。
雇用形態 | 概要 |
---|---|
パート・アルバイト | 「常時的な使用関係」でない場合は、健康保険・厚生年金を支払う義務がない |
派遣社員 | 社会保険料を支払わない |
「常時的な使用関係」とは、以下の条件に該当する状態です。
- 1日もしくは1週間の労働時間が正社員の4分の3以上である
- 1ヶ月の労働日数が正社員の4分の3以上である
この条件に当てはまらない場合は、基本的に健康保険・厚生年金分の費用を削減できます(※従業員数501人以上の会社など、一部例外あり)。また、派遣社員の社会保険料は、そもそも派遣会社が支払います。
したがって、自社が支払うものは時給のみです。どちらの雇用形態も正社員を雇うより、費用は抑えられます。
【方法5】業務をアウトソーシングする
業務を外部企業にアウトソーシングすることで、以下のように費用削減につながります。
- 社会保険料を支払う必要がない
- 必要なときのみ依頼すればよい
- 教育費や準備費が不要
派遣社員の雇用と同様に、外部企業の従業員に対して社会保険料を支払う必要はありません。また、一部の業務を必要なときだけアウトソーシングできるため、変動費として処理できる点も費用削減に一役買います。
つまり、閑散期は自社のリソースで対応し、繁忙期はアウトソーシングするといった要領です。一年中報酬を支払う必要がないので、大幅な費用削減を期待できます。
また、基礎的な知識やスキルを身につけており、自社に出勤するわけではないため採用費・教育費・準備費も必要ありません。
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- 秘書業務
- 経理業務
- Webサイト運用業務
- 人事業務
- 営業アシスタント業務
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人件費を抑えて企業の利益向上につなげよう
事業が成長して人手が足りなくなるのは、ある意味うれしい悲鳴です。しかし、社員一人にかかる費用を把握していなければ「人材を採用しすぎて思った以上に利益を圧迫してしまった」という事態に陥りかねません。
したがって、
- 何に費用がかかるのか
- どれくらいの費用がかかるのか
- どうすれば費用を抑えられるのか
を把握し、適切に費用をコントロールする必要があります。売上を最大化しつつ人件費を抑えて、さらなる事業の成長につなげましょう。
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