記帳とは?する意味とやり方・会計における注意点をわかりやすく解説
会計業務における帳簿の記帳は、お金の出入りを把握するために重要な業務です。
しかし、会計の経験が浅い方は、
「記帳はどうしてもしなければいけないの?」
「具体的にはどうやるの?」
このようにお考えではありませんか。
帳簿の作成は法律で義務づけられており、税務申告の際にも必要です。正しく記載されていなければ、税務調査に発展する恐れがあります。そこで、本記事は、
- 記帳をする意味4つ
- 記帳のやり方
- 記帳の際の注意点3つ
を紹介します。記帳業務に慣れておらず、正確に業務を遂行したいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
なお、記帳業務を正確に行うためには、記帳業務のプロに代行してもらうのもひとつの方法です。オンライン秘書・オンラインアシスタントサービス『i-STAFF』は、記帳業務の代行を始め、経理全般を外注できます。
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目次
記帳とは?
記帳とは、日々の取引内容を帳簿に記録することです。取引内容はお金や商品の出入りのことで、
- 10万円分の経費を使った
- 売上の30万円が振り込まれた
など、企業のお金に関する内容全般を指します。
取引内容が記帳された帳簿は、決算申告のときに必要です。個人事業主の所得税や企業の法人税は、納税者が申告をして確定します。1年間の収支に基づいて確定するため、正確な取引内容を記載した帳簿が重要です。
また、記帳するときは、売上や交際費、通信費といった「勘定科目」を設定しなければなりません。「何にお金を使ったか」がわかるように、正確な分類が必要です。そして、勘定科目に分類する作業を「仕訳」といいます。
したがって、記帳は正しい勘定科目に仕訳し、帳簿に入力することといえます。
記帳をする意味4つ
記帳業務は、取引内容が多ければ多いほど工数がかかる大変な業務です。
しかし、記帳して帳簿を作成することには、大きな意味があります。
- 法律で義務づけられているため
- 税務申告をするため
- 経営状態を把握するため
- 資金繰りのため
特に、税務申告をするために帳簿が必要ですが、普段の経営状態を把握するためにも記帳・帳簿作成は大きな意味をもちます。順番にみていきましょう。
【意味1】法律で義務づけられているため
そもそも帳簿作成は、2006年に施行された会社法という法律で義務づけられています。記帳業務がいかに大変で工数をとられても「面倒だから記帳をやめる」ことはできません。
もし帳簿作成を怠れば税務調査があった際に提示できず、罰則を受ける恐れがあります。罰則の加算税や延滞税の利率は高く、驚くような罰則金が課されるかもしれません。会社法でも罰則金が定められており、違反した場合は100万円の罰則金を科せられます。
古い情報に惑わされないよう、確実に帳簿作成を実施しましょう。
【意味2】税務申告をするため
記帳して帳簿を作成する最大の意味であり目的は、税務申告をするためです。国へ納める税金額は、納税者が申告しなければなりません。
法人税は年間の所得に対して課されますが、その所得を正確に把握するためには、毎日の取引内容が記載されている帳簿が必要です。したがって、帳簿には毎日の取引内容を正確に虚偽なく記載しなければなりません。もし、取引内容にミスがあると決算書とつじつまが合わなくなり、最悪の場合は税務調査が入る恐れがあります。
また、記帳を正確に行うことで、本来経費で処理できた取引の見落としを避けられます。なんとなく仕訳してしまうと、どの取引内容が経費だったのかわからなくなってしまいかねません。本来は経費として処理できた内容が個人の支出にせざるを得なくなり、余計に納税してしまいます。
正確な納税額を確定し、正しく節税するためにも、丁寧に記帳業務を実施しましょう。
【意味3】経営状態を把握するため
経営状態を正しく把握するためには、日々の取引内容をリアルタイムに把握する必要があります。記帳することで取引内容やお金の流れが明確になり、利益や経費を正確に把握できます。
また、現在の経営状況を知りたいのに、数ヶ月前のデータをみても意味がありません。経営方針を決定したり見直したりする場合は、最新の情報が必要です。そのためには、日々の取引内容を早めに記帳しなければなりません。
企業の成長を促進するためにも、日々の取引内容を記帳し、定期的に確認して経営戦略を軌道修正することが重要です。
【意味4】資金繰りのため
記帳業務を実施して帳簿を作成することは、資金繰りにも重要な意味をもちます。新たな事業を展開したり既存の事業を拡大したりするときは、多額の資金が必要です。
その資金を企業の資産から捻出できる場合は問題ありませんが、多くの企業は金融機関から融資を受けるのではないでしょうか。融資を受けるためには金融機関の審査を通過する必要があり、そのためには財務諸表を提示しなければなりません。
記帳の正確性が欠けば審査の通過が危ぶまれ、融資を受けられない恐れがあります。
また、そもそも経営状況を可視化していないと、現在の資産や利益で企業が存続できるか判断できません。緊急で資金が必要になっても対応できない恐れがあるため、日頃から記帳を徹底するのがおすすめです。
記帳のやり方
記帳のやり方について、3つのSTEPで紹介します。
- 領収書・通帳を整理する
- 取引内容を入力する
- 利益・損失を確定する
取引内容を入力する際は簿記の知識が必要ですが、会計ソフトを利用すれば簡単に入力できます。順番にみてみましょう。
【STEP1】領収書・通帳を整理する
まずは、領収書や通帳を整理しましょう。領収書は、現金払いやクレジットカード払いなど支払い方法ごとにわけ、それぞれを時系列順に並べると入力しやすくなります。
以下のように支払い方法によって記帳する帳簿が異なるため、わけておくのがおすすめです。
- 現金払いの取引:現金出納帳
- クレジットカードのように銀行口座を通した取引:預金出納帳
また、領収書によっては項目が曖昧で、内容が不鮮明なものもあると思います。その場合は、領収書と一緒にメモを残しておくと、何に使ったか明確にわかるのでおすすめです。
たとえば、本を購入したときに「本」と書いてあるだけではどの本を購入したかわからないため、購入した本のタイトルをメモするなどです。税務調査が来た場合でも、しっかりと説明できます。
【STEP2】取引内容を入力する
整理した領収書や通帳を元に、帳簿に取引内容を記帳します。
一般的に、帳簿は複式簿記という方法で作成されます。複式簿記とは、取引内容を「借方」と「貸方」に分けて記帳する方法です。たとえば、10,000円の専門書を現金で購入した場合は、以下の記帳になります。
借方 | 貸方 |
---|---|
新聞図書費 ¥10,000 | 現金 ¥10,000 |
また、商品を販売して50,000円が口座に振り込まれた場合は、以下のとおりです。
借方 | 貸方 |
---|---|
普通預金 ¥50,000 | 売掛金 ¥50,000 |
帳簿に取引内容を記帳し、それを元に以下の帳簿にも記帳します。
- 総勘定元帳
- 現金出納帳(現金支払いの場合)
- 預金出納帳(銀行口座を経由して支払った場合)
- 売掛帳
- 買掛帳
時間が経つと記憶が曖昧になるうえ、記帳すべき取引が増えると億劫になってしまうため、早めの記帳を心がけましょう。
また、会計ソフトを利用して記帳すると、簡単に複式簿記の形式で記帳できるため便利です。ほかにも提携クレジットカードや提携銀行口座を連携することで、取引内容が自動で記帳されます。
なお、下記の記事でおすすめの会計ソフトをまとめているので、ぜひご一読ください。
会計ソフトおすすめ10選|中小企業・個人事業主向けで比較【2022年最新版】
【STEP3】利益・損失を確定する
記帳した内容を元に、最終的な利益や損失を計算・確定します。確定申告や決算では、このデータを使用して納税額が決定されます。
記帳ミスがないように確認しておきましょう。
記帳の際の注意点3つ
記帳をする際には、以下の注意点に気をつけましょう。
- 記入ミス
- 勘定科目の仕訳
- 領収書の管理
勘定科目とはお金の使用用途のことで、どの勘定科目に仕訳するか悩む方も多いと思いますが、明確な正解がない場合もあります。順番にみてみましょう。
【注意点1】記入ミス
最も注意すべきでありながら、発生しがちなのが記入ミスです。記入ミスに気づかず帳簿作成を進めると、あとになってつじつまが合わなくなります。
計算が合わなくなってから記入ミスを探すのは時間がかかり、生産性のない業務が発生してしまいます。
また、記入ミスに気づかず税務申告を行うと、税務調査の原因になりかねません。税務署からの注意で済めばいいのですが、悪質と判断されれば加算税や延滞税を科せられる恐れがあります。
会計ソフトを利用すれば計算ミスは防げますが、人による記入ミスは防げません。会計ソフトを使用する場合は、現金でのやりとりを極力なくしましょう。クレジットカードや銀行口座の連携による自動入力を活用することで、単純な記入ミスは防止できます。
【注意点2】勘定科目の仕訳
記帳業務の経験が浅い場合は、使用したお金をどの勘定科目に仕訳するか悩みがちです。当然ながら、適当に仕訳してはいけません。必ず適切な勘定科目があるため、正しく仕訳する必要があります。
とはいえ、一般的なルールはあるものの明確な正解はありません。この点が、勘定科目をややこしくする原因のひとつです。すべての事業者が、統一された勘定科目を使用しているわけではないのです。
たとえば、以下の勘定科目は一般化されており、多くの企業で使われています。
- 消耗品費:おもに文具や日用品のような消耗品に使われる
- 新聞図書費:書籍や雑誌、新聞の費用
- 通信費:おもにインターネットや電話関連の費用。Web関連に使われることもある。
- 交際費:取引先の相手との接待や慶弔費、親睦会など。
ただし、交際費には特に注意が必要です。交際費は取引先との会食や贈答品の購入など、数多くの経費として使用する勘定科目ですが、内容によっては認められない場合があります。経費として認められなかった場合は、追加で納税する必要があるため、予定外の出費となりかねません。
また、勘定科目の仕訳に正解はないため、税務調査が入った場合にしっかりと説明できることが重要です。
【注意点3】領収書の管理
領収書の管理は、わかりやすく整理整頓した状態にしましょう。数多くの取引がある企業活動では、領収書をため込んでしまうと何がどの領収書かわからなくなってしまいます。
記帳する際に確認の手間がかかり、記入ミスが発生するかもしれません。そのため、定期的に領収書を整理して、未処理・処理済みに分けてファイリングしましょう。
税務申告の際に領収書の提出は不要ですが、税務調査があった場合に提示を求められる場合があります。すぐ提示できるように日頃から整理整頓し、あとからでも説明できるように同じファイルでメモを保管しておくのがおすすめです。
自分で記帳できない場合は記帳代行という選択肢も
記帳業務が難しい場合は、記帳代行に依頼するのもひとつの方法です。記帳業務は簿記の知識が必要になるうえ、取引内容が多ければ多いほどリソースが必要になる大変な業務です。
人手不足で新しく対応できる人を雇う場合は、
- 採用コスト
- 教育コスト
がかかります。
また、簿記の資格を持っている人は資格を持っていない人と比較して、一般的に高給なのでより人件費がかかります。しかし、記帳代行業者に依頼すれば採用コストや教育コストはかからないうえ、高品質な業務が可能です。
たとえば、オンライン秘書・オンラインアシスタントサービス『i-STAFF』では、1時間あたり2,640円からサービスを提供しています。一般的に、新しく従業員を雇うよりコストを抑えられます。
また、i-STAFFは記帳代行だけではなく、幅広い業務を代行可能です。経理に関する業務だけでも、以下のような業務をサポートします。
- 記帳代行
- 請求書作成業務
- 振込・支払い代行経費精算など
- クラウドツールの導入サポート
記帳代行を活用することで「記帳業務に時間がかかりすぎる」といった悩みは解消できるので、ぜひご検討ください。
なお、記帳代行について以下の記事で紹介しています。料金相場やメリット・デメリットがわかるので、ご一読ください
日頃から正しく記帳して経営状態を把握しよう
記帳業務は、後回しにすればするほど大変になる業務です。記帳による帳簿作成は法律で義務づけられているため、避けては通れません。
しかし、それ以上に帳簿を正しく作成すれば、経営状態をリアルタイムで把握できます。経営戦略を立てたり修正したりするためにも重要なので、日頃からこまめな記帳を心がけましょう。
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