業務引き継ぎ資料の作り方は?わかりやすくまとめる4つのポイント
ビジネスでは、転勤や異動などで担当していた業務を引き継がなければならないシーンが発生します。
そこで、
「現状の業務から離れることになったので、引き継ぎ資料の作り方を知りたい」
「引き継ぎ資料をわかりやすくするためのポイントは?」
このようにお考えではありませんか。引き継ぎがうまくいかないまま離れてしまうと後任者がうまく対応できず、業務の進行を遅らせる原因になりかねません。
そこで本記事では、下記について紹介します。
- 引き継ぎ資料を作成する3つのメリット
- 引き継ぎ資料の作り方6ステップ
- 引き継ぎ資料を作成する際のポイント4つ
丁寧な引き継ぎ資料を作成して気持ちよく後任者へ任せたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
引き継ぎ資料とは?
引き継ぎ資料とは、業務の内容や手順などをまとめた書式全般を指し、前任者から後任者へ業務内容を伝えるために用いられます。
業務内容を記載している点では業務マニュアルと同様ですが、業務マニュアルが標準的な内容を記載しているのに対し、引き継ぎ資料は具体的かつ個人的で、時事的な内容(その時点での業務の進捗状況や対応状況など)が含まれる場合も多いです。
異動や転勤、退職時に必要とされ、口頭だけでは伝え漏れが発生する恐れがあるため、文章として残しておくことで確実で円滑な引き継ぎが可能となります。
引き継ぎ資料を作成する3つのメリット
引き継ぎ資料を作成するメリットは、主に下記の3つです。
- スムーズに引き継げるため工数がかからない
- 顧客との関係性悪化を回避できる
- 業務を見直して改善を図れる
引き継ぎ資料を作成する際は、一度業務全体を見直さなくてはなりません。その際、課題を発見できれば解決することで改善が図れます。順番に見ていきましょう。
【メリット1】スムーズに引き継げるため工数がかからない
引き継ぎ資料を作成することで、引き継ぎがスムーズに進みます。口頭のみの引き継ぎでは伝え漏れが発生するだけでなく、体系的に引き継ぎできないので後任者が理解するために時間が必要です。
たとえば、前任者が考えつくままに説明すると業務全体の流れが見えず、後任者は引き継がれた業務を整理して全体的な業務フローを理解し直さなくてはなりません。
一方で、丁寧にまとめられた引き継ぎ資料があれば、後任者は業務をスムーズに理解できます。また、引き継ぎ期間が過ぎたあとでも引き継ぎ資料を確認できるため、業務進行も滞りなく進められます。
【メリット2】顧客との関係性悪化を回避できる
引き継ぎ資料を活用することで、結果的に顧客との関係性を維持できます。前任者と後任者の間で引き継ぎがうまくいかなければ、業務に支障をきたし、顧客に影響を与えかねません。
もし、そうなれば顧客に悪い印象を与えてしまいます。引き継ぎ資料を活用して確実な引き継ぎを行えれば、顧客に迷惑をかけることがないため関係性の維持が可能です。
特に、進行中の案件がある場合は、進捗状況や対応状況などを細かく引き継がなければ顧客に迷惑がかかります。したがって、引き継ぎ資料があれば確実に引き継ぎできるため、顧客との関係性悪化を回避できます。
【メリット3】業務を見直して改善を図れる
引き継ぎ資料を作成する際は、抜け漏れを防止するために一度業務全体を見直さなくてはなりません。業務を見直す過程で業務の課題を発見することができ、業務改善の糸口をつかめます。
特に、日常的に行っている業務は、何の疑問もなく実施している場合が多いです。そのような日常的な業務をあらためて見直してみると、意外に課題が潜んでいるものです。
課題を解決するような提案を後任者に引き継ぎすれば、すぐにでも業務の改善に着手できます。したがって、業務効率化による生産性向上が期待できます。
引き継ぎ資料に記載すべき項目
引き継ぎ資料に記載すべき項目の例は、下記のとおりです。
- 前任者と後任者の名前
- 引き継ぐ業務の目的と概要
- 業務の期間
- 全体の業務フロー
- 具体的な作業手順
- トラブル発生時の対応方法・過去事例
- 現在進行中の案件とその状況
- 顧客の連絡先
特に、トラブル発生時の対応方法や過去事例を、引き継ぎ資料としてまとめておくことが重要です。過去のトラブルは担当者と取引先のメールやチャット、直接の打ち合わせで解決している場合が多く、資料として残っていない場合があります。
後任者が参考にするためにも、
- トラブルが発生したときの状況
- トラブルの発生原因
- 取った対策
- 効果のあった対策
などを、引き継ぎ資料としてまとめておきましょう。
引き継ぎ資料の作り方6ステップ
引き継ぎ資料の作り方は、下記のステップで進められます。
- 引き継ぐ業務の内容を明確化する
- 引き継ぎのスケジュールを作成する
- 引き継ぎ資料に記載する内容を決定する
- 引き継ぎ資料を作成する
- 完成した引き継ぎ資料を同僚・上司と確認する
- 後任者へ引き継ぐ
引き継ぎ資料の作成は、担当者が一人で進める場合が多いです。しかし、その資料に正確性・妥当性があるか判断するためには、同僚や上司に確認してもらいましょう。ひとつずつ紹介します。
【ステップ1】引き継ぐ業務の内容を明確化する
実際に引き継ぎ資料を作成する前に、自分が担当していて引き継ぎが必要な業務を確認しましょう。引き継ぎが必要な業務は少ないと感じる人もいますが、実際にリストアップしてみると案外と多いものです。
リストアップしないまま引き継ぎ資料を作成すると業務の抜け漏れが発生し、後任者を困らせることになりかねません。特に、年次で対応する業務は忘れがちなので、注意しましょう。
【ステップ2】引き継ぎのスケジュールを作成する
業務の明確化が終われば、引き継ぎ資料を作成するスケジュールを決めましょう。引き継ぎ資料を作成している間も通常の業務を進めなければならないので、余裕をもって着手するのがおすすめです。
ひとつの目安として、引き継ぎ日の1週間前には引き継ぎ資料を完成させておくとよいでしょう。また、実際に業務の手順を見せながら引き継ぐ場合は、後任者とのスケジュールも合わせなければなりません。
スケジュールを立てる際にはできる限りタスクを細分化し、計画的に進めるのが重要です。
【ステップ3】引き継ぎ資料に記載する内容を決定する
引き継ぎのスケジュールが決まれば、引き継ぎ資料に記載する内容を決定します。ステップ1でリストアップした業務について、どのような内容を記載するか考えましょう。
業務全体のフローを確認し、それぞれの業務における具体的な手順や概要などを記載します。また、業務の順番がバラバラでは後任者の混乱を招くため、できる限りフローに沿った順番にしてわかりやすくまとめましょう。
【ステップ4】引き継ぎ資料を作成する
記載する内容も決まれば、実際に引き継ぎ資料を作成します。通常の業務と並行して進める必要があるため大変ですが、できる限りステップ2で決めたスケジュールどおりに進行しましょう。
引き継ぎ資料を作成する際は、どのような文章・書式にするのかが重要です。業務関係者はもちろん、初めて見る人でもわかるような内容にすることで、後任者もスムーズに業務を進められます。
特に、自身は業務に熟達しているため、初心者の視点は抜けがちです。必ず初心者の視点で、作成を進めましょう。
【ステップ5】完成した引き継ぎ資料を同僚・上司と確認する
引き継ぎ資料が完成した際は、同僚や上司に確認してもらいましょう。もちろん、確認してもらいながら資料作成を進めても構いません。
重要なことは、自分一人で完結させないことです。丁寧、かつわかりやすく作り込んだつもりでも、第三者の視点で見ると改善点が見つかる場合もあります。
たとえば、日常で使用している専門用語を記載している場合、本人はなかなか気づかないものです。たったひとつの専門用語で、後任者の理解を妨げる可能性があります。
したがって、自分で何度も確認しつつ、他者からも確認してもらうことが重要です。
【ステップ6】後任者へ引き継ぐ
上司や同僚の確認も終わり、引き継ぎ資料が完成したら、後任者へ業務を引き継ぎます。この際、引き継ぎ資料は、紙ベースのものとデータを共有するのがおすすめです。
また、引き継ぎは引き継ぎ資料を渡して終わりではありません。引き継ぎ資料を基に、直接説明することが重要です。
特に、複雑な手順が必要な業務は、実際に業務をこなしながら説明しましょう。引き継ぎ資料を見ながら、実際に作業してもらうのもおすすめです。
その際に疑問や不明点が発生すれば、その場で説明し、その都度引き継ぎ資料をアップデートするとスムーズに引き継ぎを進められます。
引き継ぎ資料を作成する際のポイント4つ
引き継ぎ資料を作成する際のポイントは、下記のとおりです。
- 引き継ぐ業務の目的や関係者を明確にする
- 引き継ぐ業務の内容を明確にする
- わかりやすく内容をまとめる
- 後任者をフォローできる体制を作る
内容をわかりやすくすることで、引き継ぎ資料は高い効果を発揮します。順番に見ていきましょう。
【ポイント1】引き継ぐ業務の目的や関係者を明確にする
引き継ぐ業務がどのような業務なのか、しっかりと記載することで後任者の業務理解が進みます。スムーズに進めるためには、業務の目的や関係者を明記するのが重要です。
基本的に企業の業務は単体で完結するものではなく、複数の業務が複雑に絡み合って事業として成り立っています。そのため、引き継ぐ業務の目的や関係者を記載することで、業務の重要性について理解可能です。
担当する業務がどの業務に影響を与えるのか把握することで、担当者としての責任感が芽生えます。
【ポイント2】引き継ぐ業務の内容を明確にする
引き継ぐ業務の目的や関係者だけではなく、内容そのものも明確にすることをおすすめします。内容が曖昧なままではうまく引き継げないばかりか、業務の遅延につながりかねません。
業務の目的を達成するために、どのような手順で何を実施すべきなのかなど、業務において必要な内容は余すことなく記載しましょう。特に、普段から行っている業務を引き継ぐ際は、無意識のうちに記載を省略したり漏れたりするものです。
慣れている業務ほど内容に不足がないか、丁寧に確認しましょう。
【ポイント3】わかりやすく内容をまとめる
引き継ぎ資料を作成する際は、わかりやすく内容をまとめましょう。文章を書く際はできる限り専門用語を使用せず、業界の初心者でもわかるような内容にするのがおすすめです。
誰でもわかるような引き継ぎ資料があれば、前任者が業務から離れても安定して業務の進行ができます。また、文章だけではなく、画像や動画を活用するのもおすすめです。
紙ベースの引き継ぎ資料に動画は添付できませんが、ネットワーク内に動画を保管しておけばいつでも視聴できます。画像や動画は文章よりはるかに多くの情報を伝えられるため、積極的に活用しましょう。
【ポイント4】後任者をフォローできる体制を作る
引き継ぎを受ける後任者は、基本的にその業務を初めて行うため、引き継ぎ資料だけではスムーズに進まないこともあります。そのため、後任者が気持ちよく業務を進められるように、環境を整えることも重要です。
後任者と一緒に業務をしながら引き継ぎできる場合は、後任者の意見を聞き、丁寧に回答してあげる必要があります。また、その業務に関連する部署や関係者に対して状況を共有し、前任者がいなくなったあとでも困らないようにしておきましょう。
引き継ぎ資料を作成する際の注意点
引き継ぎ資料を作成する際は、下記の点に注意が必要です。
- 作成に時間をかけすぎない
- 文章量が膨大にならないようにする
- 業務改善ができないか確認しながら進める
引き継ぎ資料は丁寧に作成するべきですが、量が膨大にならないように注意が必要です。量が増えると読み込むのに時間がかかり、業務を始めるまでに時間がかかったり、内容を把握できないまま業務に着手したりする恐れがあります。
したがって、引き継ぎ資料を作成する際は、箇条書きや画像を活用して要点を丁寧に伝えることが重要です。
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丁寧な引き継ぎ資料を作成して業務移行をスムーズに
引き継ぎ資料は、前任者から後任者へ業務を引き継ぐ際、スムーズにするための資料です。マニュアルよりも具体的な内容が多く、丁寧さとわかりやすさが求められます。
ただし、引き継ぎ資料が膨大になると後任者の負担が増大するため、要点を簡潔に記載することが重要です。さらに、誰でもわかるような内容にすることで、業務の移行がスムーズになります。
引き継ぎ資料の作成は意外と時間がかかるため、できる限り早めのスケジュールを組んでしっかりと作り込むことが重要です。
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