起業するなら押さえておきたい経理の基礎知識とは?自分でやるべきか代行すべきかも解説

起業するなら押さえておきたい経理の基礎知識とは?自分でやるべきか代行すべきかも解説

経理とは、事業のお金を管理する業務です。しかし、経理は専門的な知識やスキルが必要なうえ、起業したばかりの頃は忙しくて後回しにしがちです。

事業運営においてはサービスやプロダクト開発も重要ですが、経理業務をおろそかにすると経営に行き詰まる恐れがあります。

本記事では、下記をまとめました。

  • 起業において経理が重要な理由
  • 起業初期に知っておきたい経理の基本知識
  • 起業したてでもできる経理のやり方

経理の基礎を押さえ、事業を安全かつスムーズに成長させるため、ぜひ最後までお読みください。

なお、経理業務に不安を感じる場合は、経理代行を利用するのもひとつの方法です。オンライン秘書・オンラインアシスタントサービス『i-STAFF』は、豊富な知識・スキルを持つ経理のプロが事業の経理を代行します。

経理業務を始めとするバックオフィス業務についてお悩みの方は、下記よりお気軽にご相談ください。

 

目次

起業において経理が重要な理由

起業において経理が重要な理由

起業において経理が重要な理由は、下記のとおりです。

  • 経理は会社のお金の流れを見える化するため
  • 税金の申告や納付に必要なため
  • 資金繰りや経営判断に役立つため
  • 融資や助成金の審査で必要になるため

ひとつずつ紹介します。

経理は会社のお金の流れを見える化するため

経理の基本的な役割は、会社のお金の流れ(キャッシュフロー)を可視化することです。売上が上がっていても、手元に現金がなければ支払いができず、会社は倒産してしまいます。いわゆる「黒字倒産」です。

日々の取引を記録することで、「いつ」「どこから」「いくら」入金があり、「いつ」「何に」「いくら」支払う必要があるのかが明確になります。お金の流れが見えていれば、資金不足の兆候を早期に察知し、対策を打てます。

税金の申告や納付に必要なため

起業すると自分で所得と税額を計算して納税しなければなりません。正しく経理を行っていないと、本来払う必要のない税金を払うことになったり過少申告でペナルティを受けたりするリスクがあります。

たとえば、個人事業主の場合は、最大65万円の控除が受けられる青色申告を行うために複式簿記による帳簿が必要です。起業したばかりの赤字を将来の黒字と相殺できる「欠損金の繰越控除」を受けるためにも、正確な経理が求められます。

資金繰りや経営判断に役立つため

経理データは、経営の羅針盤といえます。「どの事業が利益を生んでいるのか」「無駄な経費はないか」といった現状を数字で把握することで、感覚に頼らない的確な経営判断が可能です。

たとえば、売上総利益率(粗利率)の推移を見ることで原価の高騰に気づき、価格改定や仕入れ先の見直しといった対策を打てます。経理は過去を記録するだけでなく、未来の戦略を立てるために役立つのです。

融資や助成金の審査で必要になるため

事業拡大のために融資や出資を受ける際、必ず提出を求められるのが決算書や試算表です。金融機関はこれらの資料をもとに、返済能力や将来性を審査します。

日々の経理がずさんで、実態とかけ離れた数字が並んでいると、経営管理能力を疑われて審査に通らない可能性があります。逆に、数字の根拠をしっかりと説明できれば信用力が高まり、スムーズな資金調達が可能です。経理体制の整備は、会社としての信用度を高めることにつながります。

起業初期に知っておきたい経理の基本知識

起業初期に知っておきたい経理の基本知識

経理業務を始める前に、最低限知っておくべき基礎知識を紹介します。

  • 会計帳簿の種類と役割
  • 「収入」と「支出」の違い
  • 現金主義と発生主義の違い
  • 勘定科目の基本
  • 帳簿は定期的に記録・保存する

順番に見ていきましょう。

会計帳簿の種類と役割

経理で作成する帳簿は、大きく主要簿と補助簿の2つに分けられます。代表的な種類と役割は下記のとおりです。

主要簿は、すべての取引を記録する基礎となる帳簿です。

  • 仕訳帳:すべての取引を日付順に記録する
  • 総勘定元帳:仕訳帳の内容を勘定科目ごとにまとめたもので、決算書の作成元になる

補助簿は、主要簿を補足し、詳細を管理するための帳簿です。

  • 現金出納帳:現金の入出金を記録する
  • 預金出納帳:銀行口座の入出金を記録する
  • 売掛帳・買掛帳:まだ金銭を授受していない取引・仕入れを管理する

「収入」と「支出」の違い

収入とは、事業に入ってきたお金を指します。サービス・プロダクトを提供して得た売上だけではなく、一時的に預かったお金や借りたお金、資産を売却したお金も収入に含まれます。

たとえば、銀行からの融資は借入金であるため、あとで返済しなければなりません。売上ではありませんが、お金が入ってくるため収入となるのです。

一方、支出とは事業から出ていくお金を指します。事業に必要な支払いだけではなく、借入金の返済も支出に含まれます。

現金主義と発生主義の違い

経理処理のタイミングには、現金主義と発生主義という2つの考え方があります。

  • 現金主義:現金の受け渡しがあった時点で計上する方法
  • 発生主義:取引が発生した時点で計上する方法

ビジネスの経理、特に青色申告や法人決算では、原則として発生主義で記帳します。たとえば「12月に商品を納品、代金が翌年1月に入金される」というケースでは、現金主義では1月の売上ですが、発生主義では12月の売上として計上します。

発生主義を採用することで、その期間の正しい利益を把握できるのです。

勘定科目の基本

勘定科目とは、取引の内容を分類するためのラベルのようなものです。誰が見ても、何に使ったお金かわかるようになります。

おもな勘定科目は、下記5つのグループに分類されます。

  • 資産:現金、預金、売掛金、備品など
  • 負債:買掛金、借入金、未払金など
  • 純資産:資本金など
  • 収益:売上高、受取利息など
  • 費用:仕入高、給料手当、旅費交通費、消耗品費など

どの勘定科目を使うべきか悩むかもしれませんが、重要なのは同じ取引には、継続して同じ勘定科目で計上することです。前月と当月で勘定科目が異なることのないように注意しましょう。

帳簿は定期的に記録・保存する

帳簿付けは、定期的に行いましょう。数ヶ月分をまとめて処理しようとすると記憶が曖昧になり、領収書の紛失や入力ミスが起きやすくなります。

また、作成した帳簿や領収書などの証憑書類は、法律で5年〜10年の保存が義務付けられています。あとからすぐ取り出せるように、普段から整理しておきましょう。

起業後に必要な経理業務とは?毎月・毎年やることまとめ

起業後に必要な経理業務とは?毎月・毎年やることまとめ

実行するタイミングごとに、必要な経理業務をまとめました。

タイミング 経理業務
毎月 売上や経費の記帳
領収書や請求書の整理
給与計算と社会保険の手続き
年1回~ 消費税・所得税などの申告と納付
年1回 決算書の作成と提出

順番に見ていきましょう。

売上や経費の記帳(毎月)

定期的に、売上や経費を記帳します。会計ソフトを使用する場合は、銀行口座やクレジットカードを連携すると明細が自動で取り込まれるため、入力の手間を削減できます。

また、現金で支払った経費についても、忘れずに記録しましょう。スムーズに月次決算をするためにも、こまめな記帳が重要です。

領収書や請求書の整理(毎月)

領収書や請求書は、経費の正当性を証明するために欠かせません。受け取ったらすぐに、日付順や月別、取引先別に整理して保管しましょう。

記帳とセットで行うと、記帳漏れや後回しを防げます。紛失しないためにも、自分なりの管理ルールを決めておくのがおすすめです。

給与計算と社会保険の手続き(毎月)

従業員を雇っている場合は、毎月の給与計算が必要です。総支給額から税金や社会保険料を天引きし、手取り額を支給します。

従業員満足度に関わる重要な業務なので、丁寧に業務を進めましょう。

消費税・所得税などの申告と納付(年1回〜)

個人事業主の場合は所得税、法人の場合は法人税の申告と納付を年1回行います。

また、売上が1,000万円を超えた翌々年からは消費税の課税事業者となり、消費税の申告・納付も必要になります。なお、インボイス登録をした場合は、売上に関わらず必要になる場合もあります。

納税資金をあらかじめ確保しておくことも、経理の役割です。

決算書の作成と提出(年1回)

年間の事業活動をまとめた決算書を作成します。決算書は、貸借対照表や損益計算書などで構成され、税務申告の添付書類となるほか、銀行融資の審査資料としても使われます。

日々の記帳が正確であれば、会計ソフトを使って比較的簡単に作成できます。

起業したてでもできる経理のやり方

起業したてでもできる経理のやり方

起業したてでも、実践しやすい経理のやり方を紹介します。

  • クラウド会計ソフトを活用する
  • 経理作業を毎日コツコツ行う習慣をつける
  • レシートや領収書はアプリで保存する

詳しく見ていきましょう。

クラウド会計ソフトを活用する

経理を始めるなら、freeeやマネーフォワード、弥生会計オンラインなどのクラウド会計ソフトの導入がおすすめです。

銀行口座やクレジットカードと連携すれば取引明細を自動で取得し、AIが勘定科目を推測して仕訳を提案してくれます。入力ミスを減らせるため、経理業務の効率が向上します。

おすすめの会計ソフトは以下の記事で紹介しているので、会計ソフトをお探しの場合はあわせてご覧ください。

会計ソフトおすすめ10選|中小企業・個人事業主向けで比較【2025年最新版】

経理作業を毎日コツコツ行う習慣をつける

経理作業は、溜めると大変ですが毎日やれば比較的簡単です。1日5分でも良いので、その日の売上や経費をチェックしましょう。

たとえば、「業務終了10分前に銀行口座を確認する」といったルーティンを作ることが大切です。記憶が鮮明なうちに処理することで、不明金が発生するリスクを防げます。

レシートや領収書はアプリで保存する

紙の領収書を溜め込んでしまうと、紛失したり印字が消えてしまったりする場合があります。受け取ったら、できるだけ早くアプリに保存しましょう。

クラウド会計ソフトによっては、レシートを撮影すると、自動で日付や金額を読み取って仕訳してくれる機能があります。スキマ時間を活用できるため、効率的な経理処理が可能です。

起業したら経理は自分でやるべき?代行を使うべき?

起業したら経理は自分でやるべき?代行を使うべき?

起業当初に悩むのが「経理を自分でやるか、代行業者に任せるか」という点です。どちらにもメリット・デメリットがあるので、自分にあったスタイルでやるのがおすすめです。

経理を自分でやるメリット・デメリット

まずは、経理を自分でやるメリット・デメリットを紹介します。

メリット デメリット
  • コストを抑えられる
  • 経営状況をリアルタイムに把握できる
  • 自分のタイミングで処理できる
  • ノンコア業務に時間を取られる
  • ミスのリスクが高い

外部への委託費用がかからず、会計ソフトの利用料だけかかるためコストを抑えられます。

起業したてで取引数が少なく、時間に余裕がある場合や自分で数字を把握したいという場合は、自分でやるのが向いています。

経理を代行に依頼するメリット・デメリット

続いて、経理を代行に依頼するメリット・デメリットを紹介します。

メリット デメリット
  • コア業務に集中できる
  • 正確で高品質
  • 専門的なアドバイスが得られる
  • コストがかかる
  • 数字の把握にタイムラグが出る

基本的に、自分でやる場合と比べてメリット・デメリットは裏返しになります。

売上が立ち始め、本業が忙しくなってきた段階や経理などのバックオフィス業務に苦手意識がある場合は、代行の利用を検討しましょう。コストはかかりますが、それによって生まれた時間で売上を伸ばせれば、費用対効果は高くなります。

経理代行サービスを起業時に利用する際の注意点

経理代行サービスを起業時に利用する際の注意点

経理代行サービスを利用する際は、下記の点に注意しましょう。

  • 料金体系が明確か確認する
  • 対応できる業務範囲を把握しておく
  • 実績や口コミを事前にチェックする
  • 自社との相性やサポート体制を確認する
  • freeeやマネーフォワードに対応しているかも確認する

順番に解説します。

料金体系が明確か確認する

経理代行の料金は、仕訳数(取引数)や依頼する業務内容によって変動するのが一般的です。「月額〇〇円〜」と安く見えても、オプション料金が積み重なって想定外の金額になることもあります。

基本料金だけではなく、オプションや追加料金が発生する条件などをしっかりと確認しましょう。

対応できる業務範囲を把握しておく

経理代行といっても、業者によって対応範囲は異なります。記帳だけを行う業者もあれば、経理業務全般に対応してくれる業者もあります。

依頼したい業務は何かを洗い出し、それに対応してくれる業者を選びましょう。将来的に依頼範囲を広げたい場合は、幅広い業務に対応できるオンライン秘書サービスもおすすめです。

実績や口コミを事前にチェックする

お金のデータを預けるため、信頼できる業者を選ばなくてはなりません。そのためには、過去の実績や導入事例を確認しましょう。同業種の実績があれば、業界特有の処理にも慣れている可能性が高いです。

また、口コミや評判も参考になります。レスポンスの速さや丁寧さなど、実際に利用した人の声を確認することで、サービスの質をある程度予測できます。

自社との相性やサポート体制を確認する

経理代行と長く付き合っていくためには、相性も大切です。問い合わせ時の対応が丁寧か、専門用語を使わずにわかりやすく説明してくれるかなどをチェックしましょう。

また、連絡手段や対応スピードも確認するのがおすすめです。スピーディにチャットで連絡が取れる業者は、ストレスなく付き合えるでしょう。

freeeやマネーフォワードに対応しているかも確認する

自社で導入したい、あるいはすでに導入している会計ソフトに対応しているかも確認が必要です。

特に、freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを活用したい場合は、そのソフトに精通している業者や「認定アドバイザー」の資格を持つ業者を選ぶのがおすすめです。

会計ソフトの導入支援を行っている場合もあるため、これから導入を考えている場合は積極的に活用しましょう。

経理代行を活用して事業成長に集中しよう

経理代行を活用して事業成長に集中しよう

起業における経理は、事業を成長させるための重要な業務です。お金の流れを可視化し、対外的な信用を築き、正しい経営判断を行うために正確な経理体制を構築しましょう。

事業が軌道に乗り、本業が忙しくなってきたら、代行を検討することもおすすめです。経理代行を適切に活用することで事務作業の負担が軽減され、コア業務に専念できます。自社のフェーズにあわせて適切にリソースを配分し、事業のさらなる成長を目指しましょう。

以下の記事でおすすめの経理代行サービスを紹介しているので、比較検討したい方はぜひ参考にしてください。

経理代行とは?おすすめ10社を徹底比較!メリット・デメリットと選び方を解説

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