業務効率化と生産性向上の違いとは?成功事例から学ぶ有効な施策
業務効率化と生産性向上はビジネスにおいて重要な要素ですが、同じように使われるので違いが曖昧になりがちです。
そこで、
「業務効率化と生産性向上の違いを知りたい」
「業務効率化や生産性向上のために有効な施策はどんなものがある?」
このようにお考えではありませんか。
業務効率化と生産性向上の違いを把握しなければ、有効な施策を打ち出せず、非効率な業務を改善できないかもしれません。
本記事は、下記についてまとめました。
- 業務効率化と生産性向上の違い
- 業務効率化が必要な3つの理由
- 業務効率化に有効な4つの施策
- 業務効率化に成功した3つの事例
業務効率化を図ってビジネスを成功に導きたいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
なお、業務効率化の有効な施策のひとつに、アウトソーシングが挙げられます。
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目次
業務効率化とは?
業務効率化とは、現状の業務を見直し、より少ない人数や短い時間で完了できるようにすることです。おもに、3ム(さんむ)と呼ばれる「ムリ・ムダ・ムラ」を削減し、業務内容や手順をあらためます。
ムリ |
ツールやシステムの機能以上の作業や、体に負荷がかかりすぎる環境やスケジュールのこと。 例:通常、数時間かかる作業を数十分で完了させるスケジュール |
---|---|
ムダ |
業務遂行のうえで、必ずしも必要ではない作業のこと。 例:形骸化した会議やルール |
ムラ |
業務品質が一定ではなく、人員や時期によって偏ること。 例:繁忙期と閑散期で品質が異なる |
業務効率化を図るうえで、上記のような3ムの削減が重要です。3ムを削減すると作業時間が短縮されたり、品質が向上したりするので、生産性向上につながります。
生産性向上とは?
生産性向上とは、最小のリソースで、いかに大きな成果を上げるかという活動のことです。
企業がもつ人員や材料、ツールといったリソースは、無限ではありません。限りあるリソースを最大限に活用して大きな成果を上げることこそ、企業にとって最大の目的と言い換えられます。
生産性を向上するためには、
- ツールを導入する
- 従業員を教育する
などで、業務にかかる時間を削減するのが一般的です。
たとえば、顧客情報を手入力でエクセルに入力した場合は、かなりの時間がかかります。しかし、計算式やマクロを活用すると、時間を短縮可能です。さらに、有料の顧客管理ツールやサービスを導入すれば、時間短縮だけではなく便利な機能が利用できます。
上記のような施策を実施して生産性を向上することが、企業の利益向上につながります。
業務効率化と生産性向上の違い
業務効率化と生産性向上は、セットで用いられることが多いため、違いが曖昧な方も多いと思います。業務効率化と生産性向上をあらためてまとめると、下記のとおりです。
- 業務効率化:業務におけるムリ・ムダ・ムラを削減して、業務の効率を上げること
- 生産性向上:より大きな成果を上げるための活動
業務効率化は人員や材料などの資源を最小化する活動、生産性向上は成果を最大化する活動です。つまり、生産性向上は「目的」であり、業務効率化は目的を達成するための「手段」と言い換えられます。
業務効率化を実現することで生産性向上が達成できるので、両者が混同されがちです。目的と手段を明確に意識すると期待通りの効果が出る可能性が上がるため、しっかりと把握しておきましょう。
業務効率化が必要な3つの理由
業務効率化は、多くの企業が取り組んでいる活動です。業務効率化が必要とされる理由は、おもに3つあります。
- 生産性向上を図るため
- 労働人口が減少しているため
- 労働時間を見直すため
特に、労働人口の減少は今後もしばらく続くと予想され、業務効率化による対応が重要です。順番に詳しくみていきましょう。
【理由1】生産性向上を図るため
業務効率化を実現する最大の目的は、生産性の向上です。生産性を向上すると、企業の利益につながります。
ムリ・ムダ・ムラを削減して業務効率化を図ると、時間や人員などのリソースが空き、生産活動に集中できます。そのため、生産性向上につながるのです。
たとえば、どのような業務でもありがちなのが、ムダな動線です。書類を頻繁に印刷するにもかかわらず、プリンターが遠くに設置されていれば、印刷するたびに歩いて取りに行く必要があります。
この場合は、プリンターを買い足すか、移設すると業務効率化が実現できます。その結果、今までプリンターまで取りに行っていた時間が短縮されて業務に割く時間が増えるため、生産性も向上します。
特に、長期間見直しがされていない業務には、多くのムリ・ムダ・ムラが潜んでいるかもしれません。ワークフローや動線を見直すだけでも、業務効率化になり、生産性向上が見込めます。
【理由2】労働人口が減少しているため
多くの企業で業務が増えているにもかかわらず、人手不足が続いています。労働人口の減少に伴い、労働力が低下しているからです。
<画像出典:2021年 労働力調査「図1 労働力人口の推移」>
「2021年 労働力調査」によると、2021年の平均が6860万人で、2020年に比べて8万人の減少(2年連続の減少)となりました。
さらに、出生率も下がっており、労働人口減少の流れは今後も続くと考えられています。
<画像出典:令和2年度版 厚生労働白書「図表1-1-7 出生数、合計特殊出生率の推移」>
「令和2年度版 厚生労働白書」によると、2019年における出生数は87万人と過去最小となりました。そのうえ、2040年の出生数はさらに減少し、約74万人と推計されています。
したがって、業務効率化を図り、少ない労働力で最大の成果を上げることが求められているのです。
【理由3】労働時間を見直すため
現代は、働き方改革を始めとした労働時間の見直しが進められています。プライベートの充実を考える人が増えているため、以前のように残業や休日出勤で対応するのは、あまり好ましくありません。
プライベートの時間を重視せず、従業員にムリな業務を課す企業は、従業員が定着せず恒久的に採用コストや教育コストがかかってしまいます。逆に、プライベートが充実すれば従業員はリフレッシュでき、仕事のモチベーションアップにもつながるでしょう。
したがって、労働時間を適正にし、従業員に高いパフォーマンスを維持してもらうためにも業務効率化が必要です。
業務効率化に有効な4つの施策
業務効率化を進めるうえで、有効な施策は下記のとおりです。
- 業務内容の見直し
- システムの導入
- 適した人材を配置
- アウトソーシング
業務内容の見直しは、施策というより施策を実行するための前段階といえます。ひとつずつ詳しくみてみましょう。
【施策1】業務内容の見直し
現在行っている業務を棚卸しして、ムリ・ムダ・ムラがないか現状を把握しましょう。どのような施策を実施する場合でも、業務における問題が把握できていなければ改善のしようがありません。
たとえば、下記の例が挙げられます。
- 顧客管理業務で、入力する項目が多いわりに活用されていないデータがある
- 頻繁に確認する資料を紙ベースで保管している
上記の例では、入力項目を減らしたり、資料を電子化したりすることで解決できます。
現状の業務を当たり前と思わず、ムリ・ムダ・ムラがあるという前提で見直すことが大切です。また、普段行っている担当者が発見するのは難しいため、他部署の従業員が見直すことをおすすめします。
【施策2】システムの導入
業務を従業員の手作業に頼っている状況であれば、ツールやシステムの導入が効果的です。ツールやシステムを導入すれば、業務の見える化が可能なうえ、効率的に業務を進められます。
業務効率化をサポートするツールやシステムは、下記が挙げられます。
- RPA:作業の自動化
- CRM:顧客管理
- SFA:営業支援
- MA:マーケティングの自動化
- Slack:グループのコミュニケーション
- Notion:ナレッジのデータベース化
業務を効率化できるツールやシステムがあれば、積極的に導入するのがおすすめです。なお、各ツールやシステムを連携すると一元化できるため、導入する際は確認しておきましょう。
【施策3】適した人材を配置
業務を任せる際は、内容に適した人材を配置することが重要です。人には得手・不得手があります。個人の能力を十分に発揮できる業務を任せられればミスも減り、スムーズに業務を進められるため、業務効率化を期待できます。
たとえば、コミュニケーションが苦手で営業成績の芳しくない従業員がいれば、まず話を聞くのが大切です。その従業員が営業そのものよりデータに基づいた資料作成が好きであれば、営業部門より品質部門のほうが向いているかもしれません。
従業員の得意分野や能力を最大限に引き出す環境を整えつつ、適切な業務を担当してもらうことで、業務効率化につなげましょう。
【施策4】アウトソーシング
誰がやっても同じ結果を得られるような定型化された業務は、アウトソーシングを検討しましょう。
アウトソーシングすることで、
- コストが削減できる
- 高品質な成果が期待できる
- コア業務に集中できる
などのメリットを得られます。マニュアルが完備され、定型化された業務は、積極的にアウトソーシングするのがおすすめです。
また、アウトソーシングのメリットやデメリットは、下記の記事をご一読ください。
アウトソーシングとは?メリット・デメリットや人材派遣との違いを簡単に解説
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業務効率化に成功した事例3つ
ツールの導入やアウトソーシングを導入して、業務効率化に成功した事例を3つ紹介します。
- 株式会社コンテンツラボ
- 株式会社みすずコーポレーション
- 京の宿 綿善(わたぜん)旅館
順番にみていきましょう。
【事例1】株式会社コンテンツラボ
<画像出典:株式会社コンテンツラボ>
株式会社コンテンツラボは、海外に住んでいる日本人起業家に向けてコンサルティングや支援サービスを実施している企業です。
代表取締役の河野氏は、雑務に追われてコア業務に集中できていないことを課題ととらえていました。そこで、オンライン秘書・オンラインアシスタントサービス「i-STAFF」を導入します。
下記の業務を代表に、多くのノンコア業務をアウトソーシングしました。
- 請求メールの送付
- 各種リサーチ業務
ノンコア業務をアウトソーシングした結果、雑務に30時間以上を費やしていた事実に驚いたそうです。コア業務に集中できるようになったため、新規クライアントの増加につながりました。
費用対効果が高く、アウトソーシングの好事例といえます。
【事例2】株式会社みすずコーポレーション
<画像出典:株式会社みすずコーポレーション>
株式会社みすずコーポレーションは、大豆を原料とした食品を生産する企業です。油揚げの製造工場において、作業手順やルールにムダがあるとして、改善しています。
従来の作業では、検品後に良品となった商品が入るコンテナを徒歩で運搬していました。運搬している間は作業がストップしてしまうため、徒歩のムダを省くためにシューターと呼ばれる運搬装置を導入します。
作業者は背後の装置にコンテナを置くだけでよくなり、徒歩のムダは削減。コンテナを積み上げる必要もなくなり、作業のバラツキ改善と安全性の向上にもつながりました。結果的に生産性が33%向上し、作業者を4名から3名に削減できました。
生産量と労働時間については変化がなく、ツールを導入した業務効率化に成功しています。
【事例3】京の宿 綿善旅館
<画像出典:京の宿 綿善旅館>
京の宿 綿善旅館は、古きよき伝統を受け継いで営業する京都の旅館です。
綿善旅館では、客室係がチェックアウトした部屋を確認するために、フロントに電話をしています。しかし、フロントが接客中のときは電話がつながらないため、毎回フロントに訪れて確認していました。
そこで導入したのが、タブレット端末とLINEです。フロント係が接客の合間にチェックアウト情報をLINEに入力することで、客室係は常に部屋の情報を確認できるようになりました。年間の労働時間を146時間も削減できたそうです。
この事例のポイントは新しくツールを開発したのではなく、既存のツールをうまく活用しているところといえます。
業務効率化を実施して生産性向上につなげよう
業務効率化とは、業務に潜むムリ・ムダ・ムラを削減し、より小さなリソースで業務を遂行することです。一方で、生産性向上とは、小さなリソースでより大きな結果を得るための活動を指します。
業務効率化と生産性向上は似たように扱われますが、手段と目的の関係性にあることを把握しておきましょう。
また、現代社会では労働力の減少やワークライフバランスの充実を図るため、より業務効率化の重要度が増しています。企業の利益向上を意識し、業務効率化と生産性向上を図りましょう。
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